桂枝雀師匠を知ったのは、落語ではなく、TVドラマ「なにわの源蔵事件帳」だった。
楽しいドラマだ。ほのぼのとあったかいが、湿っぽくはない。
大阪弁がほのぼのした柔らかい言語に聞こえる。
有明夏夫さんはこの作品で、明治初期の大阪を舐めるように描きたい、とおっしゃっていたらしい。
いろんな人々のいろんな暮らし。歴史の本に固有名詞の出てくるような人物は登場しない。
人力車の車夫。商家の旦那さん。居留地に住む外国人。天気予報する爺さん。芸子、めし屋の親爺、宮大工、、、
暮らしがあれば事件も起きる。源蔵が追いかけるのは盗難や詐欺などだ。血生臭い事件は起きない。
悪事を働いた者もどこか間の抜けているところがなきにしもあらず。横着者の人となりがうかがえるようで、「なんて悪い奴だ、許せん!」という気になることはそう多くない。
気を緩めてほのぼのしたい時に読む。
かつて出版されたものを作中時系列順に挙げておく。
「大浪花諸人往来」(角川文庫)
「狸はどこへ行った」(角川文庫)
「不知火の化粧まわし」(講談社文庫)
「京街道を走る」(講談社文庫)
「蔵屋敷の怪事件」(講談社文庫)
「脱獄囚を追え」(講談社文庫)
「汚名をそそげ」(新書らしいが不明…)
今ではもう抜粋本しか手に入らないようだ。特に最終巻「汚名をそそげ」は、長年探しているが全然…