2012-10-06

平清盛 by NHK (再び)

物語が中盤にさしかかる頃に一度感想を書いたが、序盤→中盤→終盤・・・と、どんどん目盛りを振り切っていくようなスケールアップぶりに、度肝を抜かれている。
TVドラマとしてとてつもないものが生まれる瞬間に立ち会っているような気がしなくもない。本当にそうなのかは、ドラマが最終回を迎えてみないとわからないけれども。


俳優陣の深く凄みある演技は言うまでもなく。

全てのシーン、セリフが後への伏線としてつながり、また、はるか前のシーンから地下水のようにつながってきて「そうか、あれはここの言葉につながる運命だったのか!」とわかる時の驚き。しかもそれが心を抉るような場面だったりするから…
(とはいえたま~に、「ん? ・・・B級映画?」とあっけにとられるようなシーンも。息抜きタイムと思って観てたり)

照明と撮影にも驚かされる。
第38回の、たそがれどきに後白河法皇と建春門院滋子が語り合う場面。つと後白河院をふりむいた滋子の顔が、夕闇のなかにふわり浮かんで、まるでフェルメールの絵みたいだった。美しかった!

吉松隆さんの音楽が美しい。痛みを感じる。
いま、物語が平家の栄華から滅びへ向かういまになって、あの華やかなテーマ音楽は平家への哀歌、哀悼の音楽なのかと思う。

今日はこの大河ドラマ「平清盛」を交響組曲としたコンサートが放映されるらしい。舘野泉さんの演奏ももちろんあるのに…仕事で観られない。残念。


2012-10-02

憲法はまだか / ジェームス三木

まがりなりにも67年間、国家として他国へ出かけて行きその国の人を殺すことをしていない。その国の自然や建物を破壊することをしていない。
他の国の軍がいくつかの国を攻撃することは止めなかった… そこは誇れない。が、ともかく67年間、国家として他国人を殺していないことには、ほっとする。

それは連合国軍総司令部(GHQ)に押しつけられた憲法のおかげだ。
「押しつけられたとはいえ平和憲法を守ってきた」という意味の文章を、最近ネット上で見かけた。
この言葉は、さまざまな立場をとる人が言いそうだ。さまざまな気持ちを込めて。

押しつけられたものであっても、この憲法のおかげで殺さなくて済んでいる。破壊しなくて済んでいる。
日本には良いところも悪いところもあると思うが、これは誇りに思えるところの一つ。

日本国憲法の成立過程がていねいに描かれているのが、この本だ。
GHQにも日本政府にも思惑があり、力技・大技・小技・裏技とりまぜ駆使した攻防があったことがわかる。
そして、思惑だなんだを超えて人類の最良の部分を、最大瞬間風速のような勢いでこの憲法に込めようとした人々の思いを、想像する。

第9条は好きだ。良いとか悪いとかの理屈でなく。このような理念を照れもなく臆面もなくかかげることのできる人類、という現実に「人間もまだ捨てたもんじゃないな」という気持ちになれる。