「この世界が命をひっさらってくことがあるんだよ
人間なんてたいしたもんじゃないからね」
おばぁの喋りのなかに、ついでのようにさらりと語られる死。自然への畏怖を知っているアジアの死生観。
男の子が何人か登場する。
王子だったり、浮浪児だったり。利かん気だったり、のんきだったり。骨太に生きている。
坂田靖子さんの抒情短編マンガには、俳句みたいなところがある。
すべてを語らない。短く一瞬で表現されるのは世界のかけらだ。
そのかけらが窓になり、広く深く果ての知れない世界を見せてくれる。
世界がどこまで見えるかは、読み手によるのじゃないかと思う。読み手が内に持っている世界の広さ深さによるのじゃないかと。
こちらの経験が深くなれば、味わいも深くなる。
年を重ねて読むたびに見える世界が広がっていく作品だ。
