2011-11-13

リアル / 井上雄彦

この作品を絶賛する人は日本中に溢れているので、ここで絶賛の一言を付け加える必要はない気もする。が、書きたいので書いておこう。

この作品に出会ってから今まで、野宮という男にどれほど励まされてきたことだろう。
いや、そんなに頻繁に励まされてはいない。一年に一回、新刊のページをめくって、ついでに話を思い出すために既刊のページをめくる時だけなのだが。
それでも野宮に再会するたび、諦めない強さと、現実を受けとめる逞しさに、励まされた。
不屈という言葉が人の姿をとったら野宮になりそうだ。

そして高橋の、喪失と絶望の後、立ち上がろうとする姿にも。
高橋に関わる人々が、自分の存在そのものをメッセージとして高橋に何かを送っている。それを受け取ることのできる高橋の心の柔らかさに、希望を見た。
絶望しても、失っても、心が凍ったように見えても、他者の想いを受け取ることはできるんだ。
消え果てたように見えても、起き上がる力はまた芽生えてくるんだ。

リアル第11巻に出てくる  「絶望とは何だ」 問いと、その答え。
たくさんの人に味わってもらいたいと思うシーンだ。