2011-05-16

華栄の丘 / 宮城谷昌光

寒い野外で熱いスープをすすりながら「旨いな」と、大声を放つ男。
大声のわけは、祖先の霊に聞こえるように。食事をする時は祖先の霊が降りてくると思っているから。冬空の下で温かい食事ができる感謝を伝えているのだ。自分を守ってくれる、もうこの世にいない家族、一族に。一緒に食卓を囲んでいる気持ちなのだ。
その声の温かさ。ページの向こうから、湯気の温かさと共に伝わってくる。

古代中国、宋の宰相・華元。
おおらかに、優しく、やわらかく、力まず、正しい道を外れない。なんて難しいことを自然体でやっちゃうんだろう、この人。他人を責めず、寄り添う心の大きさ。砂利の中から一粒の宝石を探すようにして、皆が幸せになる途を見つけようとする、心の濃やかさ。

見たことない漢字がいろいろ出てくる。知らない二字熟語がいろいろ出てくる。漢字が苦にならない人におすすめだ。